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AiM RaceStudio Analysisを用いて0.4秒のタイム差の原因と改善策を探る

AiM RaceStudio Analysisを用いて0.4秒のタイム差の原因と改善策を探る

前回はAiMの解析ソフトの使い方、そして二つのデータロガーで得られたデータを見比べるところまでを行いました。いったい何によって2つのラップは0.4秒差が生じたのか、それをデータから紐解き、改善策を検討していきましょう。

データロガーに基づく解析とは?AiM Race Studio Analysisの使い方を説明 | IGNITE

走行終了後のマシンからパソコンへデータをダウンロードし、解析の準備に取り掛かります。単にラップタイムや回転数を見るだけでなく、パソコン上で様々なデータを解析し、ドライビングテクニックの向上・マシンセットアップのヒントを探していきます。

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セクションに分割し、複数の要素を同時比較

コース:ツインリンクもてぎ・北ショートコース
車両:全日本カート選手権OKクラス

それぞれのグラフの役割を確認していただいた上で、次のステップとして複数の要素を同時に比較してみます。

コース上のどこで何が起きているかを確認するためにコースマップを色分けし表示させています。AiM RaceStudio Analysisでは、コースマップの色分けとグラフ画面の上部の色分けがリンクするので、グラフの上部を見ることでどのあたりのデータか一目瞭然になります。

すべてを検証するとキリがないので、大きく目視できる部分を検証してみましょう。

  1. スタート/ゴールラインから2コーナーの立ち上がり
  2. 3コーナーから4コーナーへのアプローチ
  3. S字コーナーから第2ヘアピンへのアプローチ

の3か所をピックアップしました。

①スタートラインから2コーナーの立ち上がり

①を拡大した画像です。エンジン回転数・スピードを確認すると、エンジン回転数で1400回転・スピードでは7キロほどの差が確認できます。一方でステアリング操作にさほど大きな差は確認できません。

回転数の下がり始めるポイントが同じ、進入速度も同じ、コーナリング中、ボトム速度が違う…。となると、ここではタイヤの摩耗による旋回性能の低下が疑われます。

②3~4コーナーのアプローチ

続いて②:3コーナーから4コーナーのアプローチについて見ていきます。先ほど検証を行った①とは真逆に、ベストラップの走行時(グラフ黄色)よりも劣るラップタイム走行時のほうが、コーナーをクリアするスピード・エンジン回転数ともに上回っています。①と同様にステアリング操作も検証してみます。

…大きな変化は見られません。

ではなぜコーナーをクリアするスピード・エンジン回転数に差が生じたのでしょうか?もうひとつの比較材料として、【加減速G】を参照してみましょう。

図中の赤い四角で囲われたチャンネル、GPS_LonAccが加速度です。LonとはLongitudinal velocity(前進加速度や、縦加速度と言われます)の略称です。黄色い四角を見てみると、ほんのわずかですがこの加速度を示すグラフに差異が確認できます。

その部分をさらに拡大しました。加速度がマイナス表示=減速が確認できます。二つのデータは、減速し始めたポイントがわずかに異なっています。

つまり、ブレーキングポイントのわずかな違いで、同じようなステアリング操作でもコーナーリングをクリアするスピードに変化が出たと言えます。回りくどい説明になりましたが、

  • 早めのブレーキ操作によりマシンの姿勢が安定し、速いコーナー通過速度を可能にした

と読み解けます。

簡単に言うところの、“突っ込み過ぎ”です。この部分については、ドライビングの安定化が必要である、という結論に落ち着きそうです。

③S字後半~ヘアピンへのアプローチ

最後のポイントとした、③:S字コーナーから第2ヘアピンへのアプローチ です。赤いグラフ、黄色いグラフを比較するとエンジン回転数・車速の差が明確に確認できます。

この原因は ステアリング操作でしょうか?それとも加速の“させ方”なのでしょうか?

赤いグラフと比べた時、ステアリング操作(上から2番目のグラフ)が、黄色のグラフは波が多いことが確認できます。グラフ中心が ステアリングセンターですので、波を打つ=カウンター操作が入った、と認識できます。つまり、S字コーナーの中で、カウンターを当てる動作があったことになります。

では、なぜカウンターを当てたのでしょうか?タイヤの摩耗によるマシンの不安定化、エンジンパワーが不安定でコントロールが難しくなったのか?など、いくつか原因が考えられます 。

そこで加速度を比較すると、あるポイントでの赤いグラフの加速度が黄色よりも明らかに高いことが確認できます 。それがエンジン回転数の差を生んでいると推測できます。つまり、アクセルオフポイントの差が、マシンの安定を助け、横滑りやそれに伴うカウンター操作を行うことがなく、S字コーナーをクリアすることが出来た、と考えられます。

0.4秒差の原因

ここまで得られた情報をまとめると、二つのデータに0.4秒のタイム差があった原因は、以下のように推測されます。

  • ドライビングが安定化されておらず、“突っ込み過ぎ“によりマシンを不安定にさせている。
  • マシンのセットアップによりマシンの物理的な限界を引き下げているため、目指すような旋回性能を得られていない。
  • 同じセットアップならば、タイヤの摩耗による旋回性能の低下、もしくはエンジンが熱により本来の性能を発揮できず、コーナーリング中のスピード維持が出来なくなっている。

同じドライバー、同じセットアップ、同じ天候・路面温度など、限りなく同一条件下でこのような差が確認されるのは、タイヤ・エンジン・そして車両の経年劣化が原因と考えられます。

サーキットでドライバー・メカニック・コーチなど様々な人を巻き込んで議論をしたいところですが、マシンの整備やタイヤ交換など様々な作業をしなければならない中では難しいこともある と思います。そこで活躍するのがデータエンジニアです。

今日の日本のレース現場でデータエンジニアを 見ることが少ないですが…。

データロガーから分析を行うための流れ

ここまでの流れを整理しておきましょう。

走行前

  • マシンの状態を記録

例:タイヤの状態(新品、または走行距離など)、車高やアライメントなどのセットアップ情報、エンジンの状況、使用しているオイルの種類、etc

自分で確認できることはなるべく多く情報をそろえたいところです。

走行スタート~ゴール

  • データロガーシステム作動状況の確認

例:GPS測位などの事前準備

走行後

  • メカニック、エンジニアへ車の感想をすぐに伝える
  • PCへデータの吸い上げ
  • 情報の整理の後、チームメンバーと現状と改善策の相談、決定。

スポーツ走行や走行会等で、機会があれば自分よりも速いラップタイムで走行する人の車にロガーを付けてみると、思わぬ発見があって面白いかもしれません。

次回はさらに発展的な使い方として、オンボードカメラを組み合わせた使用法をお伝えしたいと思います。

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AiM sportline.Japan

データロガーメーカーのAiM(エーアイエム)の日本総輸入元です。AiM創業当時から、レーシングカートをはじめとしたモータスポーツテクノロジーとノウハウを目で見える形に残そう!と、長年取り組んでまいりました。データロガーとして入門アイテムから、ハイエンド・ハイレベルなアイテムまで、幅広く対応するAiM製品の魅力とさらに踏み込んだ使い方をご紹介していきます。

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